鍼灸用語集

OHSS(卵巣過剰刺激症候群)とは

不妊治療における排卵誘発剤の使用時に問題となる卵巣過剰刺激症候群(ovarian hyperstimulation syndrome:OHSS)について解説します。

hMG製剤などで卵巣が過剰に刺激されることが原因となって表れる症状を総称してOHSSと呼んでいます。
「卵胞がたくさん発育することで卵巣全体が腫れて大きくなる」「血管内の水分が血管外に漏れ血液内の水分が減って血液が濃くなってしまう、腹水が溜まる」ことが大きな特徴で、これに付随して様々な症状が引き起こされます。

※ hMGとはヒト閉経ゴナトトロピン(human menopausal gonadotropin)の略で、閉経した女性の尿から精製したホルモン剤です。FSH(Follicle-stimulating Hormone、卵胞刺激ホルモン)とLH(Luteinizing Hormone、黄体化ホルモン)の両方の成分を含みます。

→ 不妊症治療における排卵誘発方法について

(1) 自然周期
自然に出現する卵胞を観察しながら、血中のE2とLHを測定し、成熟卵を排卵直前に採取する方法。

(2) クロミッド周期
クロミッドやセロフェン(商品名)を単独か、または、少量のhMG注射を追加しながら、排卵を誘発し、複数個の卵子を採取する方法。
※自然周期、クロミット周期では、排卵前に起こるLHの上昇を抑えることが出来ないため、採卵前に排卵してしまう可能性があります。

(3) 刺激周期
hMGを投与し多数の卵胞を発育させる。多くの卵子を摂取可能であるためもっともよく用いられる方法。ロング法とショート法があります。ヒト閉経ゴナトトロピンを用いるため、ゴナドトロピン療法とも呼ばれています。

上記の排卵誘発方法の中で、OHSSの発症に深く関わってくるのが、3番目の刺激周期(hMG-hCG)療法になります。
この誘発方法は、卵巣を直接的に刺激するために、非常に多くの成熟卵が得られ高い妊娠率が期待できる半面、OHSS(卵巣過剰刺激症候群)という、副作用を引き起こす可能性が高い誘発方法と言えます。

→ OHSSの症状とは…

先に説明した「卵巣の腫大」「血管透過性亢進による腹水の貯留」によって、お腹が張る、腹痛、腰痛、体重増加、吐き気、下痢、息苦しさ、などが引き起こされます。
PCOS(多のう胞性卵巣症候群)の傾向がある方がhMG-hCG療法を受けると、高確率でOHSSを発症してしまうようです。

→ OHSSの治療

  • 西洋医学での治療
    病院などでは、自然に症状がおさまるのを待つことが基本的な考え方のようです。積極策と消極策があり、専門家の間でも賛否が分かれているようです。
  • 東洋医学での治療
    当院の治療方針

    東洋医学では、卵巣は「腎」、子宮は「肝」が司っています。

西洋医学の積極的治療の一つに、腹水穿刺(腹壁を刺して直接腹水を抜く処置)があります。これは腹水を除くことで物理的な苦しさを取り除く対処療法であるとともに、体内の水分バランスが重要であるということにもなります。

体内の水分のバランスを調節している臓器、それは腎臓です。
ですから、腎臓がOHSSに深く関わってくると言えます。
腎臓の働きが弱ってくると、卵巣の働きが弱ってくると考えます。

OHSSを発症している方、発症しやすい方は特徴的に、腎臓の経絡の反応点に異常な圧痛があります。足の土踏まずの真ん中を押すと痛みがあります。激痛が走る方、それほどでもない方がいらっしゃいます。(土踏まずは卵巣の反応点で、腎臓の経絡の上にあります)。

治療では、この痛みをとっていきます。
痛みがとれるに従って、症状が治まってくるか、
次回のhMG=hMG療法の際に、症状の出方が穏やかになってきます。

西洋医学的に積極的治療が少ない中、東洋医学では治療を積極的に行っていく事ができます。OHSSで苦しんでいる患者さんには必要不可欠な治療であり、効果の望まれる治療であると考えています。