鍼灸治療症例集
症例27股関節痛
60代 女性
足数十年前より左股関節の痛みと足にシビレがある。今まで歩くことには困らなかったが、最近は階段や少し長く歩くと痛みが強くなり、歩けなくなる。
友人の紹介で来院される。
所見
既往症に尾てい骨骨折あり。腹部お血あり、骨盤部のうっ血著名にある。
骨折の後遺症とみる。
治療
骨折した尾てい骨周辺に鍼。同じく、骨折によりバランスの崩れた仙腸関節付近の硬結(屈伸穴)に深刺(2寸6番)。脈は遅脈の為、左京門に補鍼。
上記治療を3回施術し、数十年来の痛みは消失。歩行時の痛みは無くなる。
健康維持の為に、月に2回、鍼灸治療をしている。経過は良好。
考察
当院に来院される前に整形外科や整骨院、マッサージ院などに通院されていたが、いまひとつ改善が見られなかったのは、尾てい骨の骨折の後遺症と言うところに施術が及んでいなかったからではないかと思う。
尾てい骨の周辺は場所的に治療しずらいところで、患者様自身も、まさかそんなところが原因になっているとは思っていないことがほとんどで、もし痛みがあっても、恥ずかしくて問診時にお話していただけない事が多い。
術者は、その点もふまえて、問診をすすめて行くべきで、見落とすと、治癒まで相当な時間を要することがある。
今回は、問診時にたずねたため、尾てい骨の骨折の後遺症と言う核心部分の治療が最初からできた事が、早期症状改善につながった。